発売されたときから気になっていた本。
遅ればせながら20日ぐらい前に購入し、先日読了。
船戸与一の「新・雨月 戊辰戦役朧夜話(ぼしんせんえきおぼろやわ) 上下」。
戊辰戦争を奥羽越側から俯瞰して理解する助けになりました。
戊辰戦争は薩摩・長州を軸とした官軍と会庄仙米(会津・庄内・仙台・米沢)そして長岡を中心とした奥羽越列藩同盟の戦いとも言えます。慶応4年正月の鳥羽伏見に始まり函館の終結にいたるまで、1年半におよぶ日本最大の内戦になりました。列藩同盟がなぜ成立したのか、そしてなぜ瓦解したのか、長岡藩はなぜ列藩同盟に参加せざるを得なかったのか、その背景が全体構図をイメージしながら分かってきます。
| 梼(ゆす)原のたんぼ、のどかなひと時 |
終章では敗戦側への厳しい処分について触れています。斗南藩(下北半島)への減知転封で旧会津藩士たちが厳寒の地での開墾がままならず、飢餓にさらされたことは映画にもなりよく知るところ。しかし戦争終結後、死者の埋葬が禁止されていたということは、初めて知る驚きの事実です。会津若松の城下だけでなく、周辺の山中にも戦死者の遺体が長らく放置されていたそうです。こうした敗者へのあまりにも熾烈な仕打ちが、のちの西南戦争における“会津抜刀隊編成”という政略的戦術につながったり、そして今も“禍根”として地元の人たちに残っているのは事実です。
1年前に読んだ佐藤賢一の「新徴組」は江戸の治安を取締っていた庄内藩と新徴組から見た戊辰戦争、そして長岡藩の河井継之助の目を通した戊辰戦争を描く司馬遼太郎の「峠」。敗者の目線で全体を見渡してみるというのはことの本質を理解するうえで非常に大切なこと、あらためての感想です。
0 件のコメント:
コメントを投稿